石原 幸典(いしはら ゆきのり)

石原国際特許事務所

所長

弁理士の仕事を教えてください。

弁理士は、知的財産という分野に特化した法律専門職です。
税理士は約8万人、弁護士は約4万人いる一方で弁理士は約1万人しかいないので、あまり知られていない職業ですが、実は120年以上の歴史があって、弁護士の次に長い歴史を持つ国家資格なんですよ。
知的財産と言うとイメージしにくいですが、例えば製品の機能を高めるための新たな技術(発明)であったり、商品・サービスの知名度・ブランドイメージであったり、ユーザーが思わず手に入れたくなるような洗練された製品デザインであったりと、“目には見えない・手には取れないけれど大切なもの”のことで、こういった知的財産を上手に保護・活用しながら事業の発展に繋げていくことをお手伝いするのが弁理士の仕事です。
発明について特許権を取得したり、知名度・ブランドイメージを守るために商品名や店舗名などを商標登録したりするためには法的・複雑な手続きを経なければならないので、弁理士はそういった手続きの代理を主な業務としています。
もちろん、手続きの代理だけでなく、どのような知的財産をどのように保護・活用すれば事業がより発展するかについて商品・サービスの企画段階から一緒になって考えたり、知的財産を競争力の源泉として活かす企業経営をお手伝いしたりと、“手続きの代理の枠を超えた業務”にも積極的に取り組んでいますよ。
ちなみに、弁理士はあくまでも法律専門職ですが、たとえば発明について特許権を取得する手続きでは、発明者と技術的な議論を交わした上で、その発明がなぜ特許に値するのかを文章で的確に表現・説明しなければなりません。
法律専門職(=文系)でありながら技術的な知識が欠かせない(=理系)のが大変でもあり、楽しいです。
“こういう商品を世に出したい!”、“こういうサービスを始めたい!”といった前向きな気持ちで夢を描く依頼人と二人三脚で、ビジネスの成功に向けて“知的財産”を武器に一緒に奮闘する法律専門職、弁理士はそんな仕事です。

商標については、どんな業種でも関わってくる?

はい、これは本当に声を大にして言いたいですね。
商標って、特許庁のホームページなんかだと「自己の商品・サービスと他人の商品・サービスを区別するために使用するマーク」といった小難しい説明がされているけれど、要するに“商品・サービスあるいは店舗の目印”のことです。
目印というのは、ネーミングであったり、ロゴマークであったり、カラーリングであったりと種類は様々ですが、商品・サービスを取り扱ったり店舗を構えたりしている以上は、商標はどんな業務でも関わってきます。
紛らわしいネーミングの商品・サービスが現れて知名度・ブランドイメージにただ乗りされたり、紛らわしいネーミングの商品・サービスの悪評のせいでブランドイメージを汚されたり、「そのネーミング、うちの商標権を侵害しているから訴えますよ」なんていきなり言われたりしたら、困りますよね。
どんな業種でも、商標は絶対に抜かりないようにしてほしいです。

弁理士になったのは?

2009年に弁理士試験に合格しました。
当時は大学4年生で、その年の最年少合格でした。
まだ33歳ながらキャリア12年以上と、見かけによらず(?)キャリアは長いです(苦笑)

多くの案件が大都市圏の弁理士に集中するのに、なぜ、熱海に?

実は父と祖父も弁理士で、私が生まれる前から別荘(兼事務所の保養所)が熱海にあったので、幼い頃は毎週のように熱海に来ていたんです。
旧熱海駅舎、熱海後楽園ホテルの観覧車や熱海ロングビーチプール、つるやホテルの看板も鮮明に覚えていて、あの頃の駅前の商店街もよく覚えています。
熱海は、私にとってまさに第二の故郷なんです。
弁理士になって数年が経った頃、幼い頃の思い出がたくさんある熱海の発展に少しでも貢献したい!と思い、熱海にオフィスを置くことを決めました。
2015年、熱海にオフィスを置いて熱海商工会議所の窓口にアポなしで開所の挨拶に訪れた際に、事務局の阿部さんがとても丁寧にご対応くださり、そのまま熱海市役所に行って関係部署の方のご紹介までしてくださいました。
熱海にはどんなお店があるのかは知っていたけど、どんな人が居るのかが分からなかったので、その日に、親会への入会と青年部への入会をさせていただきました。

これから「発展していく可能性がある業種」は何だと思いますか?または、弁理士からみた「儲かる職種」って何だと思いますか?

AI関係は出願件数も増えたので、月並ですがAI関係の業種ではないでしょうか?

仕事している最中でのギリギリの線での話ってありますか?

見立てが難しいという意味のギリギリなら、そういう案件はもちろんありますね。
依頼人と十分に話した上で、案件を進めることもありますよ。

仕事の裏ワザを教えて。

裏ワザというか業務を円滑にこなすために心掛けていることですが、特許権の取得や商標登録などはただでさえ難解な法律手続きなので、せっかくチャレンジしようと思った依頼人の方が最初の段階で躓いたり混乱したりしないように心掛けています。
せっかくチャレンジしようと思ったのに、いきなり聞いたこともない専門用語のオンパレードだと、誰だって萎えちゃいますからね(苦笑)
特に最近は初めて出願するという方から依頼を受ける場合も多いので、最初にご相談をいただいた時点で即座に下調べをして、下調べの結果とそれを踏まえてどのような戦略・落としどころが考えられるかを最初の段階で分かりやすく説明しています。

素人が特許権を取得したり商標登録したりする場合の注意点を教えて。

実は公的なデータベースを使って、どのような出願が既にされているのかを無料で調べることができます。
非常に使いやすいデータベースなので、弁理士に依頼しない場合にはぜひ活用してほしいですね。
ちなみに、商標の場合は、過去3年間使われていない場合にはその登録を取り消す申立てを起こすことができるので、登録したいネーミングなどが既に登録されていても、チャンスは意外とありますよ!
反対に、せっかくネーミングなどを登録しても3年間使っていない場合は申立てを起こされて登録が取り消されるリスクが生じますので、注意しましょう。

~~プライベートな話に移ります~~

趣味や好きな物は?

車がとても好きで、昨年まで11年間、マニュアルのセリカに乗っていました。
今は小さい子供が2人いるのでミニバンに乗っていますが、子供たちがもう少し大きくなったらまたセリカのような車に乗りたいです。
しばらくは自粛ですね(苦笑)
来年からはゴルフを始めようと思っています。

今の夢や目標は?

それ以外には、子供たちを連れてニュージーランドへ行きたいですね~。
新婚旅行や学生時代の留学でも滞在していた想い出の地で、何としても連れて行きたいです!(行く予定を立てています)

収入は?

秘密です!

大切にしている言葉や座右の銘などありますか?

弁理士としての成長、一人の人間としての成長、クライアントの事業発展という成長で、私自身も「日々精進」です!!
会議所に入って、成長した部分もありますので、やはり日々成長、日々精進だと思います。

パーソナルデータ

石原幸典(いしはらゆきのり)

1988年 神奈川県生まれ
2006年 日本大学高等学校卒業
2006年 情報処理技術者試験(情報セキュアド)合格
2009年 弁理士試験合格
2010年 日本大学理工学部機械工学科卒業
2010年 弁理士登録
2010年 石原国際特許事務所入所
2015年 熱海商工会議所 青年部入会
2021年 石原国際特許事務所 所長就任

以上